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自分の死について考えることは多くの人々にとって必ずしも稀ではありません。しかし、それを実行に移す人は多くはありません。
自分の死は、単に自己決定の問題であり、他人の関与すべき問題ではないとお考えかもしれません。しかし、死を選んだ人の9割以上の人々は、直前にうつ病などこころの病気を抱えていることが多いといわれています。それらの病気の多くは、現代医学では治療可能な場合もあります。
次のサインがいくつか重なってみられるようになったら是非、相談機関や医療機関にご相談下さい。
- 感情が不安定になる。
- 不機嫌になり、些細なことで怒りやイライラを覚える。
- 深刻な絶望感に襲われる。
- 性格が急に変わったように見える。
- 投げやりな態度が目立つ。
- 身なりに構わなくなる。
- これまでに関心があったことに対しても興味がなくなる。
- 仕事の業績が急に落ちる。欠勤がちになる。
- 仕事の上で大きな失敗をする。
- 重要な人間関係を失う。
- 注意が集中できなくなる。
- 交際を避け引きごもりがちになる。
- 攻撃的・衝動的な行動が認められる。
- 激しい口論や喧嘩をする。
- 過度に危険な行為に及ぶ。
- 極端に食欲がなくなる。
- 不眠がちになる。
- さまざまな身体的不調を訴える。
- 実際に重症の身体疾患にかかる。
- 突然、失踪する。
- アルコールや薬物を乱用する。
- 無謀なギャンブルや株式投資をする。
- 性欲が減退する。あるいは、時に過度の性行為に走る。
- 大切にしていたものを誰かにあげてしまう。
- 別れをほのめかす。
- これまでの抑うつ的な態度と違って、不自然なほどに明るく振舞う。
- 自殺をほのめかす。
- 遺書を用意する。
- 自殺の計画を立てる。手段を用意する。
- 自殺する予定の場所を下見する。
- 実際に自殺未遂に及ぶ。
自殺について一般に広く信じられていることは、事実とはかなり異なっています。まず、それらの誤解についてご説明いたします。
1.「『死ぬ・死ぬ』という人は本当は自殺しない」
これはかなり広く信じられている誤解です。しかし、自殺した人の8割から9割は実際に行動に及ぶ前に何らかのサインを他人に送ったり、自殺するという意思をはっきりと言葉に出して誰かに伝えているのです。
2.「自殺の危険度が高い人は死ぬ覚悟が確固としている」
実際に自殺の危険の高い人で100%覚悟が固まっていて周囲の人がそれに気が付いた時はもう遅いのだと信じられています。
しかし実際には、自殺の前にまったく平静な人などはほとんどいません。むしろ、自殺の危険の高い人は「生」と「死」の間で心が激しく動揺しているのが普通です。絶望しきっていて死んでしまいたいという気持ちばかりではなく、生きたいという気持ちも同時に強いということです。
私たちが本人の「生きたい」、「助けてほしい」という気持ちをどこまで汲み取れるかが自殺予防の鍵となります。
3.「未遂に終わった人は死ぬつもりなどなかった」
この誤解は救急医療機関に勤める医療関係者にも見られます。本当に死ぬつもりがあったなら、確実な方法をとったはずだというのです。
しかし実際には、自殺の危険の高い人でも、その心の中には「死にたい」という気持ちと「助けて欲しい」という気持ちの2つの相反する気持ちが揺れ動いているのであり、それが自殺行動にも反映されているのです。
現実には、自殺未遂に及んだ人は、その後も同様の行動を繰り返して、結局は自殺によって生命を落としてしまう率が一般よりも高いという事実を忘れてはなりません。
4.「自殺について話をすることは危険だ」
自殺を話題にしたからといって、自殺の考えを植え付けることにはなりません。自殺したいという絶望的な気持ちを打ち明ける人と打ち明けられる人の間に信頼関係が成り立っていて、救いを求める叫びを真剣に取り上げようとするならば、自殺について率直に語り合うほうがむしろ自殺の危険を減らすことになります。
また、自殺について言葉で表現する機会を与えられることで、絶望感に圧倒された気持ちに対して、ある程度距離を置いて冷静に見ることが可能になります。
5.「自殺は突然起き、予測は不可能である」
自殺が突然のように見える場合でも、実は自殺に至るまでには長い苦悩の道程があるのが普通です。一見最近の事件が原因のように見えても、それは引き金になっただけに過ぎないことが多いのです。一般に、自殺の動機は深刻で長期にわたる場合が多いのです。